あなたが何歳なのか、私には興味がありません。 どんな人と付き合っていたのか、私には興味がありません。 私たちふたりの痛みを胸にあなたが過ごせるかを知りたい。 あなたが話して聞かせてくれることが本当なのか、 あなたが本当に信頼できるような 毎日楽しいことばかりでなくとも あなたがどこに住んでいようと、私には興味がありません。 あなたがひとりきりで時間を過ごしながら 千賀子へ そして僕自身へ |
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これは、 『60歳のラブレター 』 という本のなかの1ページです。 夫から妻へ 幼くして両親と縁薄き私は、全くの他人様の養子として育てられました。 すでにもの心ついていた為、養父母の前では精一杯「良い子」を演じたものの、 何かにつけて遠慮をしていると映っていた。幼いなりに、育ててもらっている、 施しを受けているのだという思いにに苛まれ、やがて小さな心はサボテンみたいになりました。 「損な奴やなあ」と 揶揄(やゆ)されもしたが、自分なりに納得していた風がありました。 長じて後もサボテンは変わらず、時に折角の好意を無にしてしまい、 後悔することもすくなくなかったのです。 そんな私が貴女に巡り合いました。その日、私のなにげない心遣いに対して 「ありがとう」という一言がついていました。そしてそれはいろんな場面でいつも当たり前のことなんだと気づいた時、棘(とげ)だらけのこころはつるりと一皮剥けたのです。 以来、家族が増えるにつれても「ありがとう」と日々自然に交わされるのが、 とても嬉しく思いました。 あの日から二十八年、私は貴女の「ありがとう」が聞きたくてずっと側にいるのです。 おかげさまで、どんな些細な好意にいも自然に「あいがとう」と言えるようになりました。 そして、今、本当の素直な気持で言えます。 心を込めてありがとう、貴女に出会えてよかった。 |
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